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動画コラム「テンポの取り方」

久しぶりの動画コラムです。
今回はコメントで振られたネタについて書いてみると言うことで、

コメントの「テンポの良いシーンを撮るには」というテーマから広げて、
シーンの撮り方に限らず脚本、台詞など全般について言える

「テンポを取るとはどういうことか」

について書こうと思います。
まず最初に、テンポをとる目的とは何かと言えば、
その答えは「受け手の集中力を持続させるため」です。

人間は飽きやすい生き物であり、受け手は作品を見ている間、常に飽き続けています。
それを、適度に変化をつけて刺激してやることで飽きを解消し、
最後まで作品に集中させる役割をもつのが「テンポ」です。


それを踏まえた上で、まず最初によく陥りがちな落とし穴について述べておきます。

つまり「刺激の使用過多」です。

刺激的な要素(例えば、バイオレンス、エロ、ギャグ等)というのは受け手の眼を引きつけます。
先に言ったようにテンポとは変化をつけることであり、
刺激的なシーンは大きな変化であるのは間違いの無いことです。
その理屈はどんな人であれ、考えるまでもなく判ることでしょう。

しかし実はここに「人間は慣れるもの」という落とし穴があります。
人間の適応力、ことに刺激に対して慣れる速度は、驚くべきものがあります。
同じ刺激に対して人間は数分どころか、短ければ数十秒足らずで慣れ、飽きてしまいます。

かといって、では「異なった刺激を与え続ければいいのか?」といえばそうとも言えません。
刺激を与えるシーンというのは、同時に「疲れる」シーンでもあるからです。
疲れればやはり、人間は注意散漫になっていきます。

もちろん実際には、刺激に次ぐ刺激を持ち味とするプロの作品も数多くありますが、
そういった手法は「応用」の分野であり、受け手を引き込み続けるための
様々な工夫があるわけで、つまり初心者向けとは言い難い物があります。

ですので興味がある人は、経験を積み上げた上で自分で学んで頂くとして、
今回は、基本的なテンポについて考えてみましょう。

テンポはつまり、流れの波ですから、谷の部分と山の部分、
刺激的でないシーンと刺激的なシーン、
あるいは「静」と「動」が1セットで一つのテンポを構成します。

例えば、ホラー作品で次のような場面を描くとします。

・「主人公が夜道で二匹の怪物に遭遇し、命からがら逃げ延びる」

これを、まずは一匹目との遭遇のシーンまでで考えてみます。

・主人公が暗い夜道をとぼとぼ歩いている
       ↓
・横の茂みから一匹目の怪物が登場、驚いて逃げ出す主人公     


最初の「歩いているシーン」が「静」であり、その後の怪物のシーンが「動」です。
暗く静かなシーンでゆっくり不安を煽っておき、怪物の登場でそれを一気に高める。
静→動の流れで、動のシーンのインパクトを強めているのは簡単に判るとおもいます。

では続けて、二匹目の怪物に登場してもらうわけですが、
これをそのまま加えると次のような流れになります。

・「逃げ出した主人公の目の前に、続けて二匹目の怪物登場」

少し考えれば判ると思いますが、これでは二匹目のインパクトは薄くなります。
「動」→「動」と繋いでしまっているためテンションの変化が乏しいからです。
一匹目の怪物によって受けた衝撃が冷め切らぬうちに同じように出てくるため、
先に述べたとおり「同じような刺激に、受け手が慣れてしまう」のです。

もちろん、例えば「更に第三、第四の怪物が次々と登場して・・・」という
息もつかせぬクライマックスシーンならそれでもよいのですが、
今回の場合、出てくる怪物は二匹で打ち止めですし、主人公は逃げてしまいます。
なのでこのやり方で出した場合、二匹目の印象は一匹目に比べ極端に薄くなってしまいます。

そこで、間に
「怪物から逃げ切って一息つく主人公」
というシーンを入れてみましょう。

「夜道」→「怪物登場」→「逃げ切って一息」→「新たな怪物登場」


こちらの方が、二回目の怪物のインパクトが強くなるのが判ると思います。
ワンクッションを挟むことで最初の刺激への「慣れ」をリセットし、
視聴者の集中力を回復させ、刺激を新鮮に受け止めさせることができるわけです。
いわばこの場合、主人公と同時に観客にも「一息」つかせてると言えます。

と、このように「静」と「動」を交互に組み合わせた波を作るのが、
テンポをとる上での基本技法となります。

さて、ここまで読んで「何だそんなこと、言われなくても判ってるよ」
と思った方もいるかも知れません。
なぜなら、こういうシーン単位での静と動のテンポは、わざわざ小難しい話を持ち出さずとも
「起承転結」という聞き慣れた四字熟語でお馴染みだからです。
話を作ろうとする以上、普通はまず誰でもここまでは意識します。


しかし実は、テンポをとるというのはそんな単純で大ざっぱな作業ではありません。
実際にはテンポは、作品のあらゆる要素について細かく存在し、
認知できる最小単位でいえば台詞一つ一つのレベルですらテンポがあります。

例えば先に挙げた例で言えば「主人公が夜道を歩いている」というシーンの中にも、
そのシーン内での細かなテンポが存在してきます。

仮に主人公が、シーン中ずっとテクテク歩いているだけだったとしたらどうでしょう。
確実に飽きてしまいます。

かといってあまりショッキングな小イベントで変化をつけるのもダメです。
既に述べたのと同様、メインイベントである「怪物登場」のインパクトを損なってしまいます。

ではどうすればいいのか?といえば、これは人により千差万別となってきます。
「静」のシーンのテンポをどう処理するかは、動のシーンの処理以上に
作者の個性と技量が出てくる部分かも知れません。

一応、例としていくつかあげてみますと、

・主人公が道ばたの標識に目をやる(ついでに、町まで何km、と示して孤独感を煽る)
・カサカサ、という物音に驚いて視線をやると、ゴミが風に吹かれている

のように、それほど刺激のない状況変化をつけてやってもいいですし、
あるいは

・主人公の歩いている遠景から、不安そうな主人公の表情へのカメラ変更、
 さらに、歩いて行く先を表示、とカメラアングルを徐々に変化

・BGMのテンポを、或いは曲自体をだんだん変えていく(映画「ジョーズ」を想像すると良い)

など、視覚的・聴覚的な変化をつけてのテンポも考えられます。

と、このようにシーン単位の中でも細かいテンポが存在しますが、
さらに言えば、先に述べたとおりテンポはあらゆる要素において存在し、
演出の仕方、BGMの使い方、カメラワーク、そして台詞一つ一つのレベルにまで及びます。
その中から、台詞の例をあげてみましょう。次の二つの台詞をご覧下さい。

・「タカシ、買い物行ってきてくれる? ジャガイモとタマネギとにんじんと豚肉をお願い」

・「タカシ、買い物行ってきてくれる? ジャガイモとタマネギ・・・、あと、にんじんと豚肉もお願い」

買い物の内容をよどみなく述べる前者にくらべ、途中で一回切っている後者の方が、
個々の品物の印象が、いくらか記憶に残りやすいと思います。
先の例で言えば個々の品物が「怪物」に相当すると思えば分かりやすいでしょうか。
「・・・、あと、」で前後に切ることにより、連続して出した場合に比べて
個々のグループの印象を強くしています。

ちなみに、この「切る位置」を変えることで注目の度合いをかえることができ、

・「ジャガイモとタマネギとにんじん・・・、あと、豚肉もお願い」

とすると、受け手には「豚肉」の印象が残りやすくなります。
集団でわらわらいる怪物より、一匹で立ってる怪物の方が印象が強くなると言う事です。

また或いは、カメラワークについて考えてみましょう。
例えば、キャラAとキャラBが会話するとします。
その間カメラを全く動かさなかった場合、当然ですが会話時間に比例して受け手は飽きます。
なので、例えば基本技として「一定時間ごとに別角度のカメラに変える」という手があります。

最初は二人を真横から映している
      ↓
次に、やや上斜めの(見下ろす)アングルから映す
      ↓
最後に、やや下斜めの(見上げる)アングルから映す

と言ったように。

実際にはカメラワークには「注目させる点」を操作する効果があり、
そのためにはまた別に色々と考える事もあるのですが今回は割愛して、
「カメラを動かすこともテンポづくりになる」事を覚えてくれればよいです。

そしてここで再度注意喚起しておくのは、最初に述べたとおり
変化をつけるのは、やりすぎるとそれはそれで良くない、ということです。

例えば会話シーンが一分あるとして、その間に十回もカメラが切り替わったら
まず受け手は疲れてしまいますし、注意散漫になってシーンに集中しなくなります。
全く切り替えないのも問題だが、切り替えすぎも問題。
この辺りの匙加減は自分でやってみて、あるいは映画などを見て覚えるといいでしょう。
東方GTAに限って言えば、アニメなどのカメラの使い方の方が参考になるかも知れません。


と、このようにして、受け手の集中力を維持するのがテンポです。
まとめて言えば

・注目させたい箇所(動)に対して、適切な間(静)をいれることで際立たせる

・緊張させるところと、弛緩させるところを明確に使い分け、
 受け手が疲れて注意散漫にならないようにする

というのが基本の考え方になります。

無論、常にこんな小難しい事をごちゃごちゃ考えながら作る必要は無く、
慣れてくればある程度は感覚的にテンポが取れるようになると思いますが、
右も左も判らない場合は、あえてこのように分解して考えてみるのもいいと思います。


そして最後にまとめのアドバイスを述べますと、テンポをとるのに不慣れな人は、
どうしても「静」、つまり刺激を緩和するための間を忘れてしまいがちです。
ストーリーを考えるときはだいたい「動」すなわち刺激的なシーンを中心にして考える為、
実際にシーンを構成するとき「静」をおろそかにしてしまう事が多くなります。

しかし既に述べてきたとおり、「動」は「静」と正しく組み合わせてこそ引き立ちます。
いくら高度な演出をしたところで、テンポが狂っていればその性能は1/10も出せません。
せっかく考えたクライマックスを台無しにしないためにも、
きちんとテンポを取るようにすると良いのではないかと思います。
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No title

fmfm、なるほど。参考になりました。

No title

書いてくださってありがとうございます。
テンポの取り方が分からなかったのでとても参考になりました
動画制作に活かしていきたいと思います。
それにしても最近の東方GTAって色んなツール駆使しないといけないので昔より敷居が高くなった感じがしますよね。

Re: No title

>カール・八雲さん

ごく初歩的なことだけですけどね。
結局は「活きたテンポ」を作るのは体感的な感覚によるところが大きいので、
技術を学ぶと言うより、経験を積んでセンスを磨くしかないとも言えます。

>ぐらんデさん
そういう意見はチラホラ聞きますが、個人的には全く同意できません>敷居が高い
何故なら、技術とは道具であり、道具とは「何を使ったか」ではなく、
「どう使ったか」で作品の価値が決まるからです。
実際、人気を博しているトップクラスの東方GTAのいくつかは、
技術面において必ずしもハイレベルとは言い難いものもあるはずです。

それにそもそも、創作のハードルは自分で設定するものです。
「敷居が高くて出来ない」と言ってる人は、創作のやり方を根底から間違えています。

敷居は、現実的に自分が越えられる位置に設定するか、
あるいは越えるための目標として努力するためのものであって、
自分ではどうあがいても越えられないハードルを勝手に設定して、
「敷居が高すぎて作れない」などと言っている人には、どのみち何も作れません。
敷居は越えるためのもので、眺めるためのものではないのです。

先に言ったとおり、高度な技術を使わなければ面白い作品が作れないわけではなく、
また逆に言えば技術的にだけ高度な事をやったところで優れた作品となる保証はありません。

重要なのは「その高度な技術は、自分の目指す作品に必要なのか?」ということです。
必要も無いのに「これが今の界隈の最低ラインだから」と勝手に思い込み、
技術の習得や、それの使用に時間をかけるのはただの労力の無駄です。
一方、必要であるなら如何に困難であれ死にものぐるいで修得し、使いこなすべきでしょう。

簡単に言えば高度な演出技術とは、つまり
「高いハサミを買う必要が、自分にはあるのか?」
という問いに集約されます。
ハサミの切れ味が全てを決する精緻な作品を作るなら必要です。
しかし、適当に切り刻んだ紙を使えばいい作品なら、お金のムダです。

少々長くなりましたが、とにかく自分のやりたいこと、
やる必要のあることをきちんと見極めた上で、
適切に敷居を設定すると良いと思います。

No title

なるほど、ただハイレベルな技術にとらわれるよりまずは内容やら構成やらを大事にして双方のバランスを重視していけばいいんですね。
下らない質問に付き合っていただきありがとうございました。

Re: No title

>ぐらンデさん

創作は自分だけの個性を追求する「オンリーワン」を目指す道であり、
一方、技術の追求はあくまで「ナンバーワン」を目指す、エンジニアの道、
というのが根本的な違いじゃないかと思います。

あとそれ以外に、東方GTAに限っては「GTAであること」をきちんと意識しているか?
という点が、一つ抜きんでた作品となるかどうかの決定的なポイントだと思いますが、
これについてはタイトかつ長い話になるので割愛します。

承認待ちコメント

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Re: No title

>蛭めしさん

そうなんですよね。
私の経験上もだいたい、なんかこう気分がのって一気に作ってしまったものの方が、
色々じっくり考えながら時間と手間かけて作ったものより高評価な事が多い気がします。
技術もノウハウも大事ですが、やはり一番重要なのは「生のパワー」なのかな、
なんて思ったり。

あとミニお空は、私のお気に入りの一品でもあります。
けっこう初期に作ったMODなので、思い出深いですね。
ただ、自分の動画には出す余地がないのですがw
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プロフィール

basilico

Author:basilico
GTASA用のMODとか動画とか作ってます。動画はリンクの「ニコニコ動画プロフィールページ」より。配布物の利用に関する話は記事「利用規約」参照。
配布中のMODの一覧はカテゴリ「MODカタログ」参照。

質問、要望等ありましたら、最新の記事とか関連記事のコメント欄に適当にどうぞ。公開MODの不具合修正要望も同じく。あとMMD等にコンバしたい、などでMQOファイルが欲しい場合は、リクエストしてくれれば公開します。
なお、リクエストは必ず「公開コメント」で行って下さい。マルチポスト防止のため、非公開コメントによるリクエストは原則として受け付けていません。

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