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コラム「台詞回しについての一考」

動画コラム、ええと第四回?

今回は、恐らく動画作者であれば誰もが悩むであろう、
「台詞回し」
について語ってみたいと思います。
さて、まず堅苦しい話から始めますが、台詞回しには二つの要素があります。
「台詞」と「テンポ」です。
そして台詞は、さらに二つの大要素に分けられます。
「情報」と「口調」です。

とりあえずこの分類に従って話を進めていきますが、
まず最初に「台詞」は、述べたとおり「情報」と「口調」の二要素で構成されます。
別の言い方をすれば「何について、誰が喋るか」が「台詞」だということです。

このとき、注意すべき最大の点は、喋らせる「情報」が同じであっても、
喋るキャラが違えばその内容は大きく変質する(変質すべきである)ことです。

例えば「犯人の人相」という情報を喋らせるとして、
明哲で観察眼に優れたキャラなら、用意した情報の全てを喋らせても問題ないですが、
頭の足りないおバカキャラの場合は、情報の50%~、最悪だと「まったく覚えてないよ!」
もありえるわけです。

しかし、台詞回しに慣れていない人はしばしばここで引っかかります。

「このシーンではこの情報を喋らせなければいけない。
 そしてこのシーンで喋れるのはこのキャラしか居ない」

という、構成の観点からの足し引き算にとらわれるあまり、
普段まぬけ担当のおばかキャラが、流ちょうに犯人の特徴を説明する、
といったようなおかしなことが起きてしまいがちです。

が、それは台詞回しの最大のタブーなのです。
なぜなら、台詞はキャラクター性を確立するための重要な要素であり、
そこを狂わせることはそのキャラのキャラクター性の希薄化、不透明化に繋がり、
ひいては、物語の世界観全体の「作り物っぽさ」を、
作者の思っている以上に醸し出してしまうからです。
一言でいえば「作者の操り糸が見えてしまう」のです。

故に、情報についてはまず「このキャラならここまで喋れる」を主軸とし、
それでは構成上困る、という場合は喋らせるキャラを変えるか、
あるいは補助的な構成を追加してどうにかする、という手段が望ましいです。

例えば前出の例で言えば、犯人を直接目撃していたのがおばかキャラだけで、
言葉では全く説明できない、しかし犯人の特徴説明してくれなければ進まない、
という状況だったとしたら、解決策としては、

・何らかの形で犯人の写真をオバカキャラに見せ、「あ!この人だ!」等。
・同時に犯人を目撃していたはずのモブ(背景の通行人等)を通りがからせ
 「あのとき一緒に居たよね!覚えてない?」的な話に持って行く
 (モブであれば台詞回しの制約が少ないため、情報のみストレートに喋らせても被害が小さい)
・仕方ないのでとにかく動く(場面を転換することで、別の情報源を求める)

等、何らかの手段でのサポートを入れるのが望ましいと思います。

少々脱線気味になりましたが、情報は「必ず」喋るキャラに合わせて変質させる、
ということを頭に叩き込んで頂いた上で、次に重要なのは「口調」です。
これもキャラクター性の確立の上からの重要事項で、
細かい点で言えばさまざまなテクニックがあるのですがそれはハウツーにでも譲り、
ごく単純化して言えば、口調は「人称」と「語尾」と「口癖」で構成されます。
その中で、まず「人称」と「語尾」に関して重要なのは、はっきりと確定しておいて、
「演出上意味がない限り、絶対に崩さない」ということです。

例えば、普段「あたい」という一人称を使うキャラが「私」と言い換えたら、
そこには必ず演出上の意味があるべきなのです。
二人称でも「あんた」と「お前」ではニュアンスが微妙に違います。
ふだん「あんた」と言ってるキャラが「お前」と言い換えたら、
そこには何らかの心理変化、あるいは関係性の違いがあるはずです。
そうでないとしたら、先に述べた「キャラの希薄化」に繋がります。
ですます」で喋るキャラが砕けた口調で喋るときなども同様です。

なので「一度決めたキャラクターの口調は、理由無く崩さない」も、頭に叩き込んで下さい。
特に二人称、三人称は、不慣れだとうっかり崩してしまいがちなので注意が必要です。

それと「口癖」は、必須の構成要素ではないですが、キャラクターを特徴付ける上で
重要なスパイスとなりますので、主要なキャラには出来たら設定しましょう。
東方GTAに限って言えば、有名な口癖をもつキャラが少なからずいますので、
そういった場合は素直にそれを使えばいいですが、
口癖を持たないキャラでも、なにがしか設定してやると特徴がつきます。

口癖を設定する場合に考えることは「状況」と「口癖そのもの」です。
つまり「~の時にはだいたいこういうこと言う」が「口癖」です。
元々口癖ってそういうものでしょ?と思うかも知れませんが、
ストーリー上のキャラクターの場合はある程度誇張的にそれを強調してやる必要があります。
例えば、映画「バックトゥザフューチャー」の主人公マーティは、
何かネガティブな事があったときは「ヘヴィだぜ」と呟く癖をもっていますが、
つまりこの「ネガティブなことを”ヘヴィだぜ”に総括する」が、マーティの口癖です。

ただ、口癖に関して注意しなければならないのは、
口癖はあくまで「癖」、ある状況に対してごく自然に出てしまう意識しないフレーズであり、
「お笑い芸人の持ちネタ」ではない、ということです。
つまり、言える状況を今か今かと待ち構えて、状況が来たらすかさず言う、という物ではなく、
状況に対して、本人も意識しない条件反射として出るものだ、ということです。

と、ここまで聞いて、つまりどう使えばいいの?と思うでしょうが、
これに関しては残念ながら「空気を読め」としか言いようがなく、
「口癖いれなきゃ!いれなきゃ!」と気負いすぎない方がいい、ぐらいのアドバイスしかできません。
私自身にしてからが、未だに何がベストかを把握し切れてはいないので。


長くなりましたが、以上が台詞に関しての解説で、要点をまとめますと
「そのキャラが喋りそうにないことは、決して喋らせてはいけない」
「口調はしっかり固めて、意味もなく崩さない」
の二つで、それを踏まえて次は「台詞回し」について語りますと、
二つの構成要素のうち「台詞」については既に解説しましたので、
残る要素「テンポ」の解説になります。

「テンポ」の取り方は、もっとも知識と経験の出る部分になります。
なぜなら、これを取るには受け手(視聴者)の反応を予想して、
テンポに乗せてやる(乗れるテンポを作ってやる)必要があるからです。

というと、難しく感じるかも知れませんが、
実際の所、普段普通に会話できる人であれば、普通の会話のテンポは身についています。
ですので「キャラが会話している光景を横から聞いてる自分」を想像すれば、
それが普通の会話のテンポかどうかは比較的容易に判断できます。

それを踏まえた上で、テクニカル面からの「飽きさせない会話」について少し語りますと、
「会話はキャッチボール」というのが基本にして全てです。
テンポの良いキャッチボールとは、投げて、投げ返して、がリズミカルに行われますが、
会話も全く同じです。
言葉をなげて、受けて、返して、がリズミカルに行われればいいのです。

これに関して、簡単にできることは
「一人のキャラに長く喋らせすぎない」
ということです。

先に台詞の項で話した「情報の変質」は、この段階でも行う必要があります。
あるキャラが持っている情報を喋らせるシーンの時、不慣れな人はしばしば
「情報を持っているキャラが全てを喋らなければならない」と思いがちですが、
実際には「言葉を引き取る」「合いの手」という形で、
別のキャラと、会話のキャッチボールをさせることができます。
これに関しては、簡単ですが実例を挙げた方が良いでしょう。

キャラA「あいつの潜伏場所が分った。チリアド山の中の小屋だ
     金に任せて傭兵を雇って守りを固めているらしい。
     うちの車じゃ山道は無理だから、別の車が必要になりそうだ」
キャラB、キャラC「成る程」

これだと、キャッチボールではなく、Aの投げたボールをB、Cが受け取っているだけです。
直してみましょう。

キャラA「あいつの潜伏場所が分った。チリアド山の小屋だ」
キャラB「なるほど。あいつなら金で傭兵を雇える。
     立てこもるには絶好の場所だな」
キャラC「となると、山用の車が必要になるな」

と、こう直すとキャラ三人の間でのキャッチボールが成立します。
キャッチボールにすることで、視聴者は情報と情報の間を区切りやすくなり、
「潜伏場所」「潜伏理由」「準備する物」の三点が、それぞれの発言者によって区切られ、
個々の情報の印象も強くなります。
そしてさらには、キャラクター性の描写において
「察しのよいキャラB」「気の回るキャラC」という演出をも兼ねられます。

また、ここでは「情報の追加」と「情報の省略」も行っています。
この二つは、テンポを取る上で重要な要素の一つです。
なぜなら「情報の不足」「情報過多」は、どちらもテンポを大きく損なう要因だからです。
簡単にいえば、情報が不足していると視聴者は「なんで?」と考えてしまいます。
それは、視聴者側で受け取るテンポが乱れることを意味します。
逆に情報が過多であれば、視聴者側は情報を受け取りきれず、やはりテンポが乱れます。

同じく、上記の例から実際に引きますと、「情報の追加」については、
「あいつ」がなぜ山小屋にいるのか?について、
キャラBの推測という形で「立てこもりに最適だから」という説明をしています。

またこの説明は、最初の「キャラAの説明台詞」にいれてしまうととても説明臭くなりますが、
キャラBが推測した内容、という形をとることで、視点が視聴者に近くなる
(視聴者の”なんでそいつ山小屋にいるの?”という疑問をキャラBが代弁する)ことで、
情報としては全く同じ内容でも、遙かに飲み込みやすくなるのです。

そして次に「情報の削除」に関しては、
最初のキャラAの台詞では「うちの車では山はキツい」というくだりがありますが、
キャラCの台詞においてはこのくだりは削除されています。
これは「うちの車では山は無理」という情報は、台詞として口にしなくても、
「山用の車が必要になるな」という一言から容易に脳内補完できるからです。
こういった情報は、削ってしまった方がテンポが良くなります。

と、ここまでがテンポのとりかたの基本的な技術になりますが、
この作業を行うに当たって絶対必須となるのは「視聴者視点」です。
こればかりは意識的な訓練と、経験によってしか身につきませんので、
磨くには、常に視聴者視点で台詞を見つめ直す癖をつけるしかありません。
まず初めには、最初に述べたとおり「自分の普段の会話」などをベースに
「キャラの会話を横で聞いてる自分」を想像するなどがいいかと思います。

その上で、テンポに関しての基礎テクニックその2は
「テンポを崩さない」と「テンポを崩す」の二つになります。
この使い分けで、会話にメリハリをつけていくのです。
例えば先にあげた例は「テンポを崩さない会話」です。
キャラAの台詞をうけて、キャラB、キャラCがそれぞれまっすぐ投げ返しています。
こうした会話はスマートで小気味の良い印象を与え、画面にスピード感を与えます。
しかし一方で、全編通してこういう会話ばかりだと、
そのスピード感ゆえに視聴者を疲れさせてしまったりもします。


そこでもう一方の「テンポを崩す会話」を、適度にいれてやることができます。
前の会話を、テンポを崩してみるとこんな感じです。

キャラA「あいつの潜伏場所が分った。チリアド山の小屋だ」
キャラB「なるほど。あいつなら金で傭兵を雇える。
     立てこもるには絶好の場所だな」
キャラC「山登りだな。おやつは300円までか?」
キャラA「おい、ハイキングじゃねぇぞ。 
     ・・・山用の車が必要になるな」

キャラCの役割が、キャッチボールの相手ではなく、
明後日の方向に暴投するコメディリリーフに変わっています。
ただし、それによって会話全体が脱線してはあとのシーンに差し支えるので、
キャラAによって素早く修正が行われて、全体としては当初予定の情報を渡し終えています。
この時のキャラCの台詞は、物語上の情報としてはまったく不要の台詞ですが、
キャラCのキャラクター性の描写に寄与し、またシーンの雰囲気を少し変えるはずです。

流れるように進んでいたそれまでのテンポに、
あえて無意味かつ流れを外した一言でワンクッション入れることにより、
視聴者の緊張を適度に緩和してやる効果が生まれます。
これも一つの「テンポの取り方」です。

ただし勘違いしてはいけないのは「話が脱線する」のは「テンポを崩す」のとは違う、と言うことです。
話の脱線は、実質的に「別シーンへの移行」と捉えた方が良く、
つまり「本来の話の途中で無関係の別シーンを挟む」演出に近いので、
その点をよく踏まえていないと、視聴者を混乱させてしまいます。
「テンポを崩す」のは、あくまで「すぐ元の会話の流れに戻る」ことを前提とした、
個々のキャラの台詞レベルでのワンクッション、
ということをキモに銘じておいて下さい。


と、非常にとりとめもなく長くなりましたが、以上でとりあえず今回のコラムを終了します。
自分で書いててわけ分らなくなったとも言います。

次回は・・・また気が向いたら何か書きます。
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No title

素晴らしいです感動しました!
もっとお願いします>< 555

Re: No title

> ><さん

お疲れ様です。
ちなみに、感動するほど大した内容の話ではないですよ。
これは、経験を積んだ人間なら語るまでもないごく基本の話ですが、
ただ私個人が、この手の質問を貰うことが何度かあったので、
別々の人に同じ事を何度も語るのも情報の無駄なので、
せっかくだからコラム化してみた、と言うところです。

No title

取材紀行毎回楽しませてもらっております。
今回のコラムを読ませて頂いて、なるほど。ととても納得しました。
こうして文章にしていただけると、注意点が明確になるので素晴らしいですね。
語尾や口癖は面白いですよね。
某黒い人のように~ぜ。と語尾を統一してみると、
日本語として怪しくなっても、
その人のオリジナリティに変わってしまうとか、
難しいけれど考えていると楽しいですよね。
長文失礼しました。

Re: No title

>ななしさん
ありがとうございます^^
キャラクターの印象づけの一番簡単な方法は「極端化」「象徴化」で、
口調においてそれを実行するには、上記のような方法になるわけです。

ただし「極端化」と「象徴化」は、やればやるほど「漫画的」なキャラになり、
リアルさとは縁遠くなっていきますから、あくまで東方GTAやライトノベルのような、
漫画的キャラクターを扱うお話限定の手法ではあります。

なので「リアルなキャラクター」を作る場合はもっと細かく高度な技法が必要ですが、
それは、東方GTAとは関係ないので今回のコラムでは省きました。

No title

たまに動画の制作についてツイートしてるのを見かけますが
(こういう作品には作者の○○が○○かどうかで違ってくるといった内容)
それをここにもまとめて書いて欲しいんですが、どうでしょうか?
バジリコさんのそういった書き込みって目から鱗な所があるので。

Re: No title

>ぐらんデさん

その時々に、TLで目についた話題について適当に呟いてるだけなので
呟いたことを後からまとめるのはちょっと難しいです・・・

何か聞きたいテーマなどあれば、記事として書いてみますが。

No title

そうでしたか、申し訳ないです。
もしよければ
テンポのいいカットの心得(語彙力不足だと!?)
なんと言いますか
一つの映像から別の映像に切り替えるときにもただ切り替えるだけじゃなくて、効果的な切り替え方やタイミングがあると思うんですよ。
それについて何かお願いします。
忙しい中申し訳ありません・・・

Re: No title

>ぐらんデさん

場面転換のタイミング、という感じで良いでしょうか。
ではそれらを総括した基本的な話として、
「動画自体のテンポの取り方」というテーマで、
近日中に書いてみようかと思います。

ただ、今現在はちょっとニコ童祭などで忙しいので
早くても来月になってしまうと思いますが・・・

No title

バジリコさんもニコ童祭参加ですか!
ニコ童祭当日が楽しみです。
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basilico

Author:basilico
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